Claude Code vs Codex CLI - 実務での感想

最近のコーディングエージェントの進化は目覚ましいものがあります。

単なるGitHub Copilotで「Copilot」としてコード補完ができるようになってから、ある程度自律的にタスクをこなしてくれる「Pilot」へと進化しつつあります。ただし、体感としてはまだまだ人間がガードレールを敷いて誘導しないと暴走しかねない“暴れ馬”感が強いです。
(実装経験や言語・フレームワークの知識、設計の基礎理解が薄いユーザーが使うと、顕著に質の低い実装になりがちです。)

今回は、私が現在進行中のバックエンドプロジェクトで、2つの主要なコーディングエージェントを数ヶ月使い込んでみた感想を共有したいと思います。

[注意] ベンチマークや実際のコードを用いた定量的な比較はこの記事には含まれていません。
あくまでも「この時期はこうだったな～」と振り返るための感想＆備忘録です。(中身は実質Xで呟く程度の内容)

私の開発環境と評価タスク

まず、今回の環境です。

利用エージェント
- Codex CLI + GPT-5 (reasoning effortはhigh)
  - ChatGPT Plusプランを契約していて、その枠で利用
- Claude Code + (Plan時Opus 4.1、ほかはSonnet 4メイン)
  - 5倍Maxプランでこの1ヶ月は利用、それ以前はProプラン
プロジェクト
- 言語/フレームワーク: TypeScript / NestJS / Prisma
- リポジトリ内総行数: 150k-
タスク
- 複雑の既存レイヤード(?)アーキテクチャから、クリーンアーキテクチャベースへの移行
- Entityごとに少しずつ進めています
MCP
- Claude Code
  - Notion MCP (新しいリモート版)
  - GitHub MCP
  - Context7
  - (Serena)
- Codex
  - Context7
使用方法
- VSCodeの拡張機能で連携、利用

1日に数時間、特定のタスクを任せるという使い方で、複数のエージェントを同時に並列で走らせるようなことはしていません。

また、既にリポジトリの`docs/`ディレクトリにコーディング規約やリアーキテクチャ用のドキュメント、ガイドラインなどを記載しています。

体感比較：Claude Code vs. Codex

自走力

個人的には完全に手放しではなく、プランニングのフェーズごとなど、要所要所で「この方針で進めてよいか？」と確認してほしいので、--dangerously-skip-permissionsは指定していませんが、allow-toolsとdenyを設定して実行しています。

そのうえで、タスクを最後までやり遂げる「自走力」自体は、Claude Codeの方が一枚上手だと感じました。一度タスクを指示すれば、PlanでTODOリスト作成、そのタスクを最後までやりきってくれます。

ただ、Claude Codeはその自走力の高さゆえに、一度誤った方向に進み始めると、どんどん深みにハマってしまう危険性も感じました。特に細かい実装でエラーを解決できていないことが多く、気づいたときには、かなり大規模な手戻りが発生する可能性があり、注意が必要だと思います。

その点、Codexは Agent(full access)を指定しても、かなり頻繁に「これでいいですか？」と確認を挟んでくるためリスクは低いものの、細かいステップでも、そのタスクを完遂する1/3の段階ぐらいで聞いてくるので、むしろストレスがたまります...

指示への追従性とリファクタリング精度

今回の「既存アーキテクチャから理想形へ移行する」というタスクにおいては、Codexが良いと思います。

設計書やガイドラインを渡した際の指示への追従性が非常に高く、理想とするアーキテクチャへの持っていき方がとても綺麗です。大きな修正なしで、一発で期待通りのコードにしてくれることも多いです

対照的に、Claude Codeは既存コードとの互換性を過剰に意識する傾向がありました。例えば、新しいアーキテクチャへの移行を指示しても、古いアーキテクチャ側の実装をラッパーとして残したり、互換性のための処理を追加したりして、結果としてむしろ複雑なコードを生成してしまうことがよくあります。「古い実装は削除し、完全に置き換えよ」と単純に指示するだけでなく、指示の仕方をかなり工夫する必要がありました。

開発サイクル（テスト・Lint・修正）

型チェックやLintエラーを検知し、テストを実行して修正するというループ作業のスムーズさにおいては、Claude Codeの方が安定してスムーズにタスクを進めてくれました。細かな修正を繰り返しながら、着実にコードの品質を高めていく作業は得意なようです。

制限とツール周りの使用感

コンテキスト管理と利用制限

コーディングエージェントの生命線とも言えるContext Windowですが、ここでも大きな違いがありました。

Claude Codeはすぐにコンテキストが一杯になり、compactが頻繁に発生します。この時間自体がロスなうえに、圧縮によって精度が低下してしまう感覚も否めませんでした。また、高性能なOpusモデルは、コストや制限を考えると常時使うのは現実的ではなく、ほとんどの実装はSonnetモデルに頼ることになります。(10倍プランだと変わるのかもですが、流石にお高い...)

一方、Codexは自分のユースケースにはPlus程度でも丁度良いリミットだと感じていましたが、先日ついに週次の利用制限に引っかかってしまいました。ヘビーに使い込むと、やはり上限は意識する必要がありそうです。

Codex CLIの課題

CodexをCLI経由で使っていますが、いくつか不便な点もあります。特に、HTTP MCPが使えないことと、プロジェクトごとにカスタムコマンドを作れない点は、今後の改善に期待したいところです。

MCP Proxyを挟めば解決できますが、手間がかかるため、タスク管理やGitHubへのcommit / pushなどはカスタムコマンド＋MCP連携でClaudeに任せています。

結論と今後の展望

今回のリファクタリングというタスクにおいては、総合的にCodexの方が私の使い方には合っていました。明確なゴールがあり、そこに向かって的確な指示を出しながら進める開発スタイルと相性が良いようです。

ちょうどこの記事を書いているタイミングで、OpenAIからGPT-5-codexがリリースされたので、早速そちらも使い始めています。

Anthropicからも近々Claude 4.5が登場するという噂もあり、モデル自体の性能向上でこの差がどう変わるか、非常に楽しみです。ただ、モデル性能だけでなく、今回感じたような利用制限の厳しさや、コンテキスト管理の品質といった点が改善されない限り、自分のなかで評価が逆転するのは難しいかもしれません。

P.S.
今のところ、世に出ているどのコーディングエージェントも仕事のやり方を変えるほどには進化していますが、仕事を完全に任せられるレベルにはまだ達していないように思えます。今後どのように発展していくのでしょうか。

2025年9月上旬 AIコーディングエージェント所感